断食の本当の意味~賢者の知恵「中道」~

ずばり中道とは?

  1. ひとつの立場に偏らず、中正であること』
  2. 『多すぎず、少なすぎず、極端に走らないこと』

中道は仏陀(お釈迦様)が、苦行の末に導き出した答えであり、仏教の奥義の1つです。

まずは、断食の効果について、体験談をふまえて考えてみたいと思います。

(中道のことを中庸とも言います)

断食の効果について考える

断食の歴史はとても古いと言われています。

断食のルーツは宗教の修行です。欲を断ち、己を戒めるのが目的です。

ご存知の通り、現代では健康法やダイエットの一環としても普及しています。

– 断食の伝説 –

断食には様々な効果があるとされています。

時には、人智を超えた…というか伝説じみた効果がうたわれることもあります。

「若返る」とか「癌が治る」などですね。

かつての私は、断食の健康効果を全面的に信じていました。

断食する=食費を減らせるという事実。

私のような貧乏人にとっては、この事実はとても魅力的でした…。ダイエットしながら健康になって、若返って、おまけに生活費が安くなる。文句のつけようがありません。

– 対立する2つの主張 –

ある時、私は興味本位で断食のことを調べていました。そして、いくつかの断食否定論に出会いました。

「断食は健康に悪い。逆に病気になる」

というものでした。

一日一食をガチで限界までやってみて思ったこと

私は中途半端が嫌いな性格なので、限界まで一日一食生活を行いました。(※一日一食実践記を参照)

体重が減らなくなるまで一日一食を貫いたということです。

その結果、健康を害することはありませんでした。

自分で言うのもなんですが、そこそこ健康的な断食だったと思います。

ファーストフードやコンビニ弁当は一切口にしていません。すべての食事は自分で調理した物です。玄米も食べますし、味付けは醤油と味噌がメイン。パッケージもちゃんとチェックします。無添加・国産の物を優先的に選ぶのは基本ですよね。(書いてるうちに自分ってかなりの健康オタクかもと思えてきた)

体は問題ないとして、心はどうだったか。

正直言うと、少し微妙でした。

身長が173センチで体重が52~53キロまで下がったので、だいぶガリガリになった訳です。

ちょっと悲しい気持ちになったのを覚えています。(今ではその時の悲しい気持ちをバネに筋トレに励んでいます)

まぁ私の体験談はどうでもいいとして、そろそろ本題に入ろうと思います。

仏陀が断食に見出した答え、その真実とは?

断食で最も有名な人物と言えば、仏教の始祖、仏陀ですよね?

断食を推進する方の中には「過去の偉人も断食をやっていた。だから断食は正しい」と言う人がいます。

そこで私は仏陀について軽くですが調べてみました。すると、とても興味深いことが分かりましたので、この場を借りてご報告いたします。

仏陀は「断食は素晴らしいから皆もやろう」と言っていたのか?それとも…。

当時のインドでは「断食は常識」だった!

かつてのインドの僧侶は、断食の修行を当たり前に行っていたんだそうです。

古代インドでは、肉体を不浄だと考える人が多数派だった。不浄な肉体を苦行で傷めつけて、精神性を高める(悟る)ことが正義だと信じられていたのです。

ここでの断食の定義とは「一定時間何も食べない」ということ。

仏陀もまた、しきたりに習って断食していたのでした。

全く何も食べない日々。肉体は痩せ細り、ついには骨と皮だけに。

死の淵まで達しても、まだ悟ることができない。

そんなある日、もうろうとする意識の中で、仏陀はふと人の気配を感じます。

あまりの痛々しさに見るに見かねた町娘が、牛乳を差し入れに来ていたのです。

牛乳

牛乳を飲んだ仏陀は活力を回復し、その瞬間に閃きました。

食べることを我慢しても、残るのは苦しみだけだ。これでは誰も救えない

仏陀はこう思ったそうです。

「欲望を戒めることは必要だが、餓死するほどの断食は間違っている。正しい心があっても、健康な肉体がなければ人を救うことはできない

仏陀は極端は人を不幸にする」と悟ったのです。

こうして苦行を捨てた仏陀は、菩提樹の元で悟りを開き、約6年間に渡る修行を完遂したと言い伝えられています。

健康法の落とし穴- 確証バイアス –

人は自分の信じたいことしか信じない」こう言われたら、あなたはどう思いますか?

恐らく、イラッと来るのではないでしょうか。

私はそんなに頭の固い人間じゃない!」とね。

でも、ちょっと待ってください。こんなことってありませんか?

とある有名な先生から「砂糖が体に悪い」と教えてもらったとします。

あなたは、家に帰ってインターネットで検索します。

「砂糖 危険」「砂糖 害」などのキーワードで。

すると、砂糖や乳製品の危険情報がズラリと出てくる訳です。その情報を読んだあなたは「やっぱり砂糖や乳製品は危険なんだ」と納得し、次回からは砂糖や乳製品を一ミリたりとも摂らないように努力します。

実は、前述のような傾向は誰にでもあることです。心理学では「確証バイアス」と言います。

確証バイアスとは、

自分が信じる事や信念にとって都合が良い情報ばかりを集め、その反対の意見に対しては無視したりバカにしたりする傾向」のことです。

健康法の落とし穴- 善悪二元論の危険性 –

人間は「白か黒かはっきりさせないと気が済まない」生き物だと言えます。(私自身、中途半端が嫌いなためこの傾向が強い)

どちらが悪でどちらが善なのか、はっきりさせたいと思いませんか?

現代の日本には、様々な健康法があります。特に、以下の3つは有名ですね。実践している人も多いのではないでしょうか。

  • ファスティング(断食)
  • マクロビオティック
  • 糖質制限

実は、これらの健康法には1つの共通点があります。

それは、「どちらが悪で」「どちらが善なのか」極めて明確に示してくれるということです。

  • ファスティング(断食)…「食べないこと(善)」vs「食べること(悪)」
  • マクロビオティック…「玄米菜食(善)」vs「肉や乳製品(悪)」
  • 糖質制限…「肉や乳製品(善)」vs「糖質・炭水化物(悪)」

すごく分かりやすいですよね。悪を排除すれば健康になれるという訳です。

ここで少し、冷静になって考えていただきたいことがあります。

この世に、絶対的な「善」は存在するのでしょうか?

光がある所には必ず影もあるのではないでしょうか?この世には、黒か白かでは判別できない、グレーな事柄があるのではないでしょうか?

なぜ、中道は賢者の知恵なのか?

私は、マクロビや糖質制限やファスティングの効果を否定しようなどとは微塵も考えていません。健康法を提唱する先生方は、高学歴で、極めて頭脳明晰で、素晴らしい方々ばかりだと思います。

私のようなバカの馬の骨に、四の五の言う資格はないことは重々承知しております。

それでも、言論の自由の名の下に言わせていただきたい。

何らかの健康法を提唱する先生は、その健康法を広めることによって利益を得ているのです。

本が売れる、有名になる、自分の病院が儲かる。

日本は資本主義社会ですので、利益を追求することは間違いではないと思います。

ですが、情報の受け手側には、ある程度バランス感覚が求められると思うんです。お金が絡んでるんだから冷静になった方が良いと思うんです。

では、どうやってバランスをとれば良いのか。

リスクとメリットを天秤にかけて比較検討し、総合的に判断する。これしかありません。

しかし、比較検討して調べ上げるためには、とんでもない時間と労力がかかります。

仕事が忙しい現代人にとっては、なかなか難しいのが現実です。

最もリスクが少ない選択は中道

そこで役に立つのが、お釈迦さまが教えてくれている「中道」の考え方です。

ビタミンEを例に考えてみましょう。

かつて、ビタミンEは過剰摂取しても害はないと言われていました。ビタミンEは抗酸化作用もつ、若返りのビタミンです。誰しも、いくつになっても若々しくいたいと思うのは当然のことでしょう。ビタミンEをサプリメントで大量に摂取する人も現れました。

ところが突如、ビタミンEが骨粗しょう症のリスクを高めるとの報道がなされたのです。ビタミンEは過剰摂取しても害はないと思っていた人は、唖然としたのではないでしょうか。

ビタミンEは多すぎても少なすぎてもいけない。

科学の問題は複雑です。極端に走ると何が起こるか分かりません。だからこそ、真ん中辺りを選ぶことが、最もリスクが少ない方法なのです。(しかも簡単)

そして、この「多すぎても少なすぎてもいけない」という考え方は、あらゆる事柄に応用できます。

お酒は適量なら百薬の長と成り得ますが、多すぎると急性アルコール中毒で死んでしまいます。醤油も一気飲みすると死んでしまいます。

それでは、中道の定義を元に、前述の3つの問題に答えを出してみましょう。

  • ひとつの立場に偏らず、中正であること
  • 多すぎず、少なすぎず、極端に走らないこと

結論:

  1. 肉や乳製品の食べ過ぎは良くないが、少なすぎも良くない。
  2. 糖質の食べ過ぎは良くないが、少なすぎも良くない。
  3. 太り過ぎは体に悪いが、同じく痩せ過ぎも体に悪い。

まとめ

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宗教の話は嫌い、という人もいることでしょう。私もカルト宗教は嫌いです。

(カルト宗教とは、教祖のおぞましい欲望(金銭欲・支配欲など)を満たすために存在している組織のこと。教祖は男性が多い。組織的な心理誘導で人を操る。カルト宗教の最終目的は、教祖を絶対的な神だと信じこませ、信者からすべての財産を奪い尽くすことにあります)

「中道の考え方」は、怪しげな洗脳から身を守るロジックです。

そして、日本人にとって馴染み深いものだと思うんです。

世界の宗教や神話の中には、善悪二元論の側面を持つものも存在します。特定の偉い神様(ゼウスとか)が、悪い奴をやっつけますよね。

善悪二元論は、敵を完膚なきまでに叩きのめして排除します。

一方、日本の神道は多神教です。山や川、海や空など、あらゆる自然に神様が宿っているとされています。いわゆる八百万の神です。

多種多様を認め、共存共栄を目指す心こそ「和の心」。

和の心は中道の精神と通じるものがあります。

今の日本は、食の安全が声高に叫ばれています。そんな不安な時代には、善悪二元論が「ウケ」ます。敵と戦う正義のヒーローは支持されやすいのです。

善悪二元論は単純で分かりやすい。しかし、同時に、致命的な危険が潜んでいるかもしれないのです。そのことを頭の片隅に入れておいてください。

不安な時代だからこそ、日本人本来の「和の心」を思い出す必要があるのではないでしょうか。


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