首や肩周辺のコリは、デスクワーカーにとって死活問題といっても過言ではありません。
ここ数年でスマホが爆発的に普及したため、首のこりで悩む人も増加傾向にあると見られます。
かく言う私も8時間以上パソコンに向かっている身。首の血行不良を防ぐため、グルグルと首を回す運動をやっていました。
ところが、ネットで首回しを調べると、やたらと評判が悪い。「脳梗塞」や「半身不随」など、おどろおどろしいタイトルばかりが並んでいる。
どうも腑に落ちないので、徹底的にリサーチすることにしました。
目次
首回し・首ポキポキで脳梗塞・半身不随のソースをたどる
「首周しで脳卒中・半身不随」話のソースは、どうやらテレビ番組のようです。
~医師(国際医療福祉大学熱海病院)によれば、「極端に首を回したり、ボキボキとしたりする」と首に負担がかかり、脳の動脈の壁が割ける脳動脈解離なるタイプの脳梗塞になることがある。
引用元: 首ボキボキで若年性脳梗塞の危険(とくダネ!).
「極端な歩き方をすれば、ウォーキングで骨折することもある」と言っているのと同じと感じました。
「首ポキポキで首に1トンの圧力がかかる」は完全にデマ
恐らく、不安を煽るために大きく見せた広告的な表現、もしくは、根本的に理解していないかのどちらかです。圧力というのは、たいていは1平方メートルあたりの数値です。1トンは1000kgです。1平方メートルというのは、100cm x 100cmですので、10,000平方センチメートルです。首の面積的には1平方センチメートルで考えると、0.1キログラム、つまり100gです。
引用元: 首ポキは肩こり解消になるの?ネットやテレビで喧伝される説への疑問にお答えします。.
実際にかかる負荷は100グラムだそうです。てか1トンとか食らったら即死でしょ…。
首回しで脳梗塞は「若年性脳梗塞」の事らしい
テレビのアナウンサーか誰かが若年性脳梗塞になったことで、一気に注目が集まった模様。
ソース不明の記事は人を混乱させるだけなので、とりあえず排除。また、ソース自体の信憑性が低いと意味が無いので、信憑性の高いソースだけ挙げていきます。ここでは「病院系サイト=信憑性の高いソース」とします。
確かにリスクはある
日本ではまだ報告がそれほど多くありませんが、諸外国では頻度の高い若い人の脳梗塞の1 つです。原因不明の場合も多いのですが、軽い首の外傷やスポーツ、カイロプラクティクス、ヨガなどによる急激あるいは過剰な首の回転や伸びによる場合もありますので、注意が必要です。通常の脳梗塞の症状に加えて、しばしば首や後頭部の痛みなどの自覚症状があります。
引用元:脳梗塞とはどんな病気?(国立循環器病センター) .
ここでも「急激あるいは過剰な」となっていますね。
首回しは数あるリスクの1つ
「脳梗塞とはどんな病気?」より、若年性脳梗塞の原因を抜粋します。
若年性脳梗塞の原因
- 若年性の動脈硬化
- 若年性高血圧
- 若年性糖尿病
- 高脂血症
- 喫煙
- 肥満
- 塩分過多
- 脂肪過多
- 不整脈
- 水分不足
- ストレス
- トイレで力む
- 急激な温度変化
- 血液の固まりやすさの異常
- ウィリス動脈輪閉塞症(脳に異常な血管の網がモヤモヤと現れる病気で、別名モヤモヤ病と呼ばれる)
- 膠原病(免疫系の病気で、血管などが炎症を起こす)
- 動脈解離による脳梗塞(首回しや首ポキポキで話題になってるのはコレ。衝撃で血管が剥がれる現象を言う)
- ホモシスチン尿症(代謝系の病気。血栓が出来やすく、生まれつきの病とされる)
- 覚醒剤の乱用
- 麻薬の乱用
脳梗塞全般の基本原理
ほとんどの脳梗塞は「血管が弱い」ことに起因していると言えます。
- 血管が傷つく
- 傷を塞ぐために血が固まる
- 血の固まり「血栓」ができる
この「血栓」が全ての元凶です。
血管の中で出来た血の塊が頭まで流れていって、脳の血管に詰まる。その結果、脳に酸素が行かなくなったり、血管がパンクするのが脳梗塞と呼ばれる病気なのです。
ざっと挙げただけで20もある脳梗塞の原因ですが、また他にもあります。
健康な人が筋肉のコリなどの対策として首を回すのは問題ありません。ただ、骨のトゲが首の神経の近くにある場合、首を回すとトゲが神経に刺さりやすくなることがあります。その場合、自己流のストレッチは危険を伴います。もし「首を動かすと、首や手にしびれがある」などの症状があれば、首を極力動かさず、医師の診察を受けることをお薦めします。
引用元: 警告!首の痛み総点検(ためしてガッテン).
骨のトゲが血管を傷つければ血栓になるので、脳梗塞の危険因子の1つですね。
あと、昼夜逆転も脳梗塞のリスクを高めると言われています。
ということで、脳梗塞の原因が22個見つかりました。
で、結局、首回し・首ポキポキの危険性はどのくらいなのか?
これだけ多くの脳梗塞の原因がある中で、首回し・首ポキポキの悪影響はどれほどのウェイトを占めているのでしょうか。
引用元: 若い人でも脳梗塞になる!?(たかせクリニック).
Q:最近ネット上で「首をポキポキすると脳梗塞の原因になる」という記事をよく見ます。
A:これは要するに、脳動脈解離のことだと思います。ただ、誰でもそうしたことが起こるのではなく、血管内膜の脆弱性など、体質的な因子の関与が大きいものと考えられます。
引用元:若年性脳梗塞とその特徴について: 六号通り診療所所長のブログ .
複数のリスクが複雑に絡み合って病気になる
結局、1つの原因だけで病気になることはまれです。首回しや首ポキポキはキッカケにすぎず、根本的な問題は血管の弱さにあるのではないでしょうか。
瑣末な問題に囚われるより、全体を見て改善するほうがはるかに建設的です。
結論
こうして総合的に考えると、首回し・首ポキポキの危険性は、過剰に心配するレベルではないと分析されます。(ラジオ体操から唐突に首回しがなくなったらヤバいかもしれないが 笑)
解決策
同一関節を毎日1~2回程度鳴らしていても関節に変化はなく問題はないが1日10回以上1ヶ月続けると、関節に変化が現れ、指関節では関節に炎症がおこり肥大化してくる。特にクセになってやめることが出来ない人に、病的問題が発生する。~関節を鳴らさないと2週間程で炎症はやや治まり、肥大した軟骨部分は減少しはじめ、元の関節に戻ろうとする、2ヶ月で半減する、10代までは顕著です。
引用元:関節を鳴らす 島田接骨院 .
1~2回はセーフ、10回以上はレッドゾーン。
首の弱い部位を知る
引用元: 首の運動 肩こりを予防する.
後ろ・斜め後ろに倒すのと、回転させるのは負荷が強いのでやめたほうが良いとのことです。
ただ、これも程度の問題だと考えられます。後ろに倒すのがダメなら、うがいもできないし、目薬もさせませんからね。
首の筋肉を鍛えてストレートネックを予防する目的で、首の回転運動をやっている例もあります。
引用元: ストレートネックの治し方.
首のストレッチや首周しで注意したほうが良いポイント
- 勢いをつけない
- 力を入れない
- ゆっくり行う
- 限界まで伸ばさない
血管が痛む4つの理由
- 動脈硬化
- 高血圧
- コレステロール過多・脂質過多
- 糖尿病
高血圧はすなわち血液の流れが早い状態です。
流れの早い川は、岸辺にゴミが溜まりやすい。これは、強い水流で、ゴミが岸辺に押し付けられるためです。
血管にもこれと同じ原理が働きます。血管の壁に不純物(コレステロール・脂質など)が押し付けられるというわけです。
それらの不純物は血管壁に染みこんでいき、最終的には壁に穴を開けます。
血管を守る8原則
- 塩分を摂り過ぎない(高血圧を防ぐ)
- 適度な運動
- バランスの良い食事
- 野菜・魚介類を積極的に取り入れる
- 脂っこい料理は極力控える(血管を破壊する要因を減らす)
- 禁煙
- 酒は適量
- 糖尿病にならないように気をつける(糖尿病になると血管がボロボロになる)
備えあれば憂いなし
早期発見が命運を分けます。
強いストレスを受けると脳細胞が破壊される
首回しはラジオ体操にも取り入れられています。学校や職場で行われているし、健康のために毎朝ラジオ体操しているおじいちゃんやおばあちゃんも多いことでしょう。
もし、首周し程度で脳梗塞になるなら、相当な人数が脳梗塞になっていないとおかしい。
実際の脳卒中の患者さんは134万人だそうです。
(平成20年度の数値です。出典は厚生省の患者調査。脳梗塞・脳出血などの脳の血管の病気を総称して脳卒中と呼びます)
日本の人口を1億とすると、134万÷1億=0.0134。全体からすると、脳卒中の人は1%程度です。
そもそも、ラジオ体操の後に脳卒中が多発するので、苦情が出て首回しが中止になっていないとおかしい。
このように論理的に考えるとたいした事はないことが分かります。
しかし「首に1トンの圧力」「脳梗塞」「半身不随」などの恐ろしい単語が踊るページを見てしまうと、恐怖で頭がいっぱいになってしまうのではないでしょうか。
これは科学的に証明されていることですが、強い恐怖やストレスを受けると、脳細胞(海馬)が破壊されます。
また、脳細胞が破壊されると、対応する部位が病気になって、最悪の場合癌になると言われています。
私は「首に1トンの圧力がかかるから止めとけ」と言っている方々は、善意で、注意喚起のために情報を発信していると信じています。
しかし、情報を受け取る私たちの側からすれば、不要なストレスで脳細胞が破壊されてしまう危険性があるということです。
残念ながら、ネットには無闇に恐怖や不安を与える情報も多い。
いつでも冷静さを忘れず、恐怖やストレスを寄せ付けない心を持ちたいものですね。
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