「不食」は人類の新たな可能性なのか?榎木氏の体の謎に迫る!

俳優の榎木孝明氏が「30日間固形物を口にしない」という快挙を成し遂げられました。

「不食」ということで話題となっているようです。

榎木氏は「ヨガ」「瞑想」「合気道」などの達人で、空気中からプラーナ(気)を取り込めるらしいです。「人は食べなくても生きられる」ことを証明するべく、不食を実行されたのだとか。

凄すぎですね。正に生ける仙人といったところでしょうか。

これはリサーチせずにはいられません。

そんなわけで、今回は榎木孝明氏の不食の謎について迫っていきたいと思います。

榎木孝明氏の基本データ:体重・身長・年齢など

  • 体重:80キロ→71キロ
  • 身長:180センチ
  • 年齢:1956年1月5日
  • 鹿児島県出身
  • 1984年にデビュー

榎木氏の考え方

「食べないほうが体調が良い」

「常識にとらわれない。人は食べないと生きられないという常識にとらわれない」

不食に至るまでの経緯

  1. 20代のころ、インドへの一人旅(修行?)を数度行う。現地で飲まず食わずの生活を体験。
  2. 帰国後、体調がよくなっていたことを理由に、不食に興味をもつ。
  3. 以後、短期間の不食を行い、集中力が増し、睡眠時間を短縮できることを確認。不食の有効性を確信する。

榎木式不食のルール

  • 病院に泊まりこむ。病院の先生の指導のもとで、完全に安全を確保したうえで実行する。
  • お茶、コーヒー、水は飲んでOK。
  • 角砂糖、塩飴は許容範囲内。(低血糖・低血圧対策。3回くらいしか使っていないらしい)
  • 監視カメラを設置。食べていない証拠を撮る。
  • 不食中ににも古武術をこなす。
  • 不食中にも仕事をこなす(テレビ番組の撮影など)
  • 読書を楽しむ。
  • 色々なところに出かける。

榎木式不食の効果

(あくまで榎木氏の場合)

  • 食欲とは無縁の境地に達する。うなぎの蒲焼きの匂いを嗅いでも、食べたいとすら思わない。横でステーキを食べている人を見ても、食べたいとすら思わない。
  • 集中力が格段に上昇する。その効果で本を超スピードで読むことができるようになり、台本を覚えるスピードも上がる。
  • 睡眠が深くなり、4時間程度でよくなる。
  • 腰痛が治る。
  • 排便は期間中(30日間中)3回。
  • 19日で体重の減りが止まる。(以降は71キロで安定)

いやはや、色々とスゴイです。

なんといっても、全く食べずに仕事や武術をやっている点が常人離れしているとしか言い様がない。

また、個人的に特に凄いと思ったのは、19日で体重の減りが止まったこと。

普通に考えると、食事(補給)がないので、底なしに体重が減っていきそうなんですけどね。

私は一日の食事を夕食のみにする「一日一食」の食事法をやったことがあるのですが、その時は30日で6.5キロ減りました。

最終的には4ヶ月で16キロくらい減らしており、50キロ代のガリガリまで行っちゃってます。

睡眠に関しては、断食すると睡眠時間が短くなるという話は色々なところからお聞きしますね。

私の場合は、睡眠の質が良くなったり、睡眠時間が短くて済むというようなことは一切ありませんでした。

むしろ、朝起きるのが辛かったと記憶しています。真冬だったせいもあるのかもしれませんが。

さて、私の体験談はどうでもいいとして、そろそろ榎木氏の分析に入りたいと思います。

体重と身長が分かれば肥満度指数(BMI)が分かる

まず何より注目すべきは、身長と体重です。

不食時は外から栄養を補給することができないため、体内の脂肪などがエネルギーとして使われることになります。

したがって、脂肪が多い、体重は重いほうが有利だと考えられます。

榎木氏の身長は180センチ、体重は80キロ。

ここから、おおまかな体型、つまりBMI(肥満度指数)を割り出してみましょう。

不食前の榎木氏のBMIは「24.69」。

BMIから見た標準体重は「71.28キロ」となっています。

(出典:healthクリックBMI計算ツール)

BMIでは、25以上が肥満です。

榎木氏の体重は標準より上、つまり、不食の前段階で十分な蓄えがあったことになります。

人に備わる3つのサバイバル機能

プラーナ(気)だとかの宇宙パワー的なのは検証の仕様がないため、ここでは除外させていただきます。

自力で糖を作り出すシステム

脳は肉体の全機能を総括する司令塔であるため、緊急時にも優先的にエネルギーが回されるしくみになっています。

「糖質」は脳にとってなくてはならない栄養素。万が一の時のために、自力で糖を作りだすシステムが人間にはあります。

それが、肝臓で行われる「糖新生」です。

糖新生では、アミノ酸から糖を作り出します。不食などの外からアミノ酸が入ってこない状況の場合、筋肉を分解してアミノ酸を作り出し、そこから糖を再合成するというプロセスがとられます。

脂肪からエネルギーを作りだすシステム

蓄えた脂肪からもエネルギーを作り出すことができます。それがケトン体回路です。ケトン体を合成するのも肝臓です。

流石、人体の化学工場の何恥じない働きぶりですね。

ケトン体は様々な臓器のエネルギーとして使える他、脳が糖のほかに利用できる唯一のエネルギー源でもあります。

ご存知の通り、脂肪は生活習慣病の危険因子。

そのため、一見、不要な脂肪を燃やしてくれるケトン体回路はいいことずくめに見えるかもしれません。

しかし、ケトン体回路には致命的とも言える欠点があるのです。

ケトン体が生成される過程で、酢酸と呼ばれる酸が同時にできてしまうという欠点が。

なぜ酸がダメなのか。

人間の血液は「アルカリ性」に保たれています。このPHが少しでもズレてしまうと、命に関わってしまうのです。

体内で酸が作られると、体はPHを保つため、骨のアルカリ性を利用します。

骨からアルカリ性を血液に供給する。

つまり、骨が溶けてしまうわけです。

短期的ならばそれほど重篤な問題は起こりにくいと考えられますが、長期に渡ってケトン体が作られ続けると、少々マズイ事態になってくるのではと思われます。

脳の省電力モード

人間は脳を進化させることで生き残り、今や食物連鎖の頂点に君臨しています。人間の脳は他の動物に比べて異常に大きいため、エネルギーの使用量も多い。

通常、入ってくるエネルギーの20%~50%は脳が使用していると言われています。

こんな大食らいの脳ですが、研究が進むにつれて、様々なカラクリがあることが分かってきています。

脳はエネルギーの使用量をフレキシブルにコントロールできるようなのです。

第一のカラクリとしては、私たちの脳は重要な物だけを認識することで、識別にかかる無駄なエネルギーをカットしています。

私はよく歩いたり自転車でうろついたりしていますが、こんな標識が立っていることに最近まで全く気が付きませんでした。

目立つ標識

視界には入っていても、自分にとって重要ではないので、認識していなかったということです。

次のカラクリは記憶の利用です。

この世に生きる人間は、全員過去の記憶の中で生きています。

私たちの自我は、過去の経験によって形成されます。

同じ人でも、育った環境が違えば全く別の性格になるはずです。

あなたは、家族や友達に対して「あの人はこんな人」というイメージを持っているはずです。

そのイメージは、過去に蓄積された記憶から作りだされている。

つまり、今という現実は、過去の記憶から作り出されているということなのです。

この事実が不食と何の関係があるのか。

もしかしたら榎木氏は、この記憶利用のカラクリで脳の使用エネルギーを大幅に下げている可能性があります。

脳がエネルギーを最も多く使うのは、全く新しい物を生み出すクリエイティブな作業です。

それに比べて、記憶を利用して行う作業には、あまりエネルギーを使わない。

ドリブルの練習と同じしくみです。最初は意識的にやっている(頭を使う)のでたどたどしいが、なれてくると無意識(頭を使わない)にできるようになる。

パソコンには物理メモリーがあり、ここに色々な「キャッシュ」を格納しておくことで高速化されるしくみになっています。(ハードディスクから引っ張りだすよりもメモリのほうが早い)

もしかしたら、人間の脳にも似たような機能があるのかもしれません。

記憶・経験(キャッシュ)が多いほど、効率的に脳を使うことができるので、エネルギーの使用量が少なくなるのかもしれない。

榎木氏は1956年生まれということなので、当然ながら人生経験も豊富でしょう。デビューも1984年で仕事においても筋金入りのプロフェッショナルと言えます。

さらに榎木氏は瞑想、合気道、絵画などをこなすことでも知られており、その才能はどどまるところを知りません。

インドのヨガには、一時的に仮死状態になる瞑想もあるそうです。もし仮死状態になれば極限までエネルギーの使用量を抑えることができると考えられます。榎木氏が会得しているのかどうかは不明)

もし脳が記憶を使って省電力化しているのだとしたら、榎木氏は十分すぎるほどの「キャッシュ」をもっていることになります。

不食で能力アップの仕組み

断食すると集中力が上がる。断食すると頭がクリアになる。という話は色々なところで聞きます。

私も、一日一食をやっているときに集中力の高まりを感じました。

よく言われるのが「食事を摂ると胃に血液が集まるから、眠くなったりボーっとしたりする」という説明です。

確かに、それも一理ある思います。

しかし、もっと重要な理由が他にあります。集中力アップの本当の原因は「脳内麻薬」である可能性が高い。

実は、糖新生が起こると、副腎から脳内麻薬「アドレナリン」がガッツリ出るそうなんです。

アドレナリンは戦いのホルモンです。アドレナリンはテンションを上げます(やる気が出る)。また、集中力を格段に高める効果があります。

飢餓状態は生存の危機なので、戦いのホルモンが出るのもうなすけます。

断食で気分がよくなったり、集中力が上がるのはアドレナリンのおかげだと言えます。

なお、アドレナリンの能力アップの効果は短期的なものでしかありません。

同じ音楽をずっと聞いていると飽きるのと同じで、アドレナリンも段々効き目が薄くなってくるからです。

不食で能力アップまとめ

本や台本を読むスピードが上がった理由
  • アドレナリンの効果。
  • 重要な箇所だけを認識して、他はカットすることにより、脳の使用エネルギーを下げていた可能性も。
  • 榎木氏はプロの俳優なので、効率の良い台本の覚え方をマスターしているはず。ドリブルを無意識に行うことができるように、通常より低いエネルギー使用量で暗記することができた可能性。
空腹を全く感じない

ケトン体の効果。ケトン体は脳に作用し、空腹を感じなくさせる効果がある。

なぜ、体重が減り続けるのではなく20日で止まったのか?

実はこれが最大の謎。

  1. なんか別の所からエネルギーを得ていた可能性。太陽?腸内細菌?プラーナ?宇宙パワー?
  2. 水が溜まっていた可能性。(口から水を摂らなくても、代謝の過程で体内で作られる水分もある)

1は検証の仕様がないので除外するとして、考えられる可能性は2でしょうか。

水分は普通にとっていたらしいので、少しずつ溜まっていたのかもしれません。もしくは、何か別の老廃物のようなものかも。

最初の9キロは勢い良く脂肪などが燃えた。しばらくすると、燃やす物がなくなってきて勢いが弱くなった。

燃える量と溜まる量が拮抗すれば体重の減りは止まるはず。

榎木孝明氏が不食に成功した理由まとめ

  1. 病院で完全に安全を確保。
  2. 病院の先生がついているので、万が一の時も大丈夫だという安心感。
  3. 人は食べなくても生きられる、食べないほうが体調が良いという「揺るぎない信念」。超プラシーボ効果
  4. 体重が重く、脂肪・筋肉などの蓄えが十分にある。
  5. 経験豊富・頭が良い・豊かな才能
  6. 合気道や瞑想、さらに呼吸法にも精通している。「気」をコントロールできる。

脳は過去の記憶を使うことによりエネルギー使用量を下げることができる。ということは、経験が豊富な人ほど、脳を効率よく省電力で使える。

元々頭が良いからこそ、断食しても能力が下がらず、普通に仕事をこなせるのかもしれません。

とりあえず、バカで無能な私には不食は無理だということがはっきりしたようです(笑)

注)真面目な話、軽い気持ちで不食に挑戦するのは危険すぎます。ダイエット目的で不食をするなどということは絶対におやめください。

榎木氏も「食べないことを推奨するものではない」とおっしゃっていますので気をつけましょう。


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